大阪市淀川区の税理士法人エム・アンド・アイの土谷です。

先日の10月17日に会計検査院が「消費税の課税期間に係る基準期間がない法人の納税義務の免除について」国会及び内閣への随時報告を行いました。

現在消費税法では、小規模事業者の事務処理能力等を勘案し、課税期間に係る基準期間(個人事業者では課税期間の前々年、法人では課税期間の前々事業年度)における課税売上高が1000万円以下の事業者は、原則として消費税の納税義務が免除されることとなっています。その結果、事業者として新たに事業を開始した場合、個人事業者の新規開業年及びその翌年並びに法人の設立事業年度及びその翌事業年度については、それぞれ課税期間に係る基準期間が存在しないことから、原則として免税事業者となり、納税義務が免除されることとなっています。

会計検査院からの問題点としては下記の3つが指摘されています。


以下報告書より抜粋

1.個人事業者の法人成り
 個人事業者は、事業の拡大等を理由として、当該事業を新たに設立した法人(以下 「新設法人」という。)に引き継ぐ場合がある(以下、このように個人事業者が行っていた事業を新設法人へ引き継ぐことを「法人成り」という。)。
 そして、個人事業者として課税事業者であった場合でも、個人事業者が新設法人に事業を引き継いだときには、法人としての課税期間に係る基準期間が存在しないことから、設立事業年度とその翌事業年度は、原則として免税事業者となる。

2.新設法人における納税義務の免除の特例
 新設法人の中には設立事業年度から相当の売上高を有する法人もあることなどから 、6年の税制改正において、新設法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額(以下「資本金」という。)が1000万円以上の法人は、課税期間に係る基準期間が存在しない設立2年以内の納税義務が免除されないこととされた。

3.会社法施行に伴う最低資本金制度の撤廃
 会社に関する法律として、会社法(平成17年法律第86号)が制定されて18年5月から施行された。これにより、従来設けられていた株式会社の設立には1000万円以上の資本金が必要であるとする最低資本金制度が撤廃された。
 そして、上記の最低資本金制度が撤廃された以降においても、新設法人の設立2年以内の納税義務について資本金を基準として判定することは、特段見直されていない。

 抜粋はここまで。


設立2年以内において相当の売上高を有していることから第3期課税期間は消費税の申告及び納付が見込まれるのに、第3期事業年度以降に解散していたり、無申告となっていたりしているなどの法人や、設立2年以内の事業者免税点制度の適用を受けた後の第3期事業年度以降に他の新設同族法人へ売上げを移転するなど制度を悪用しているとみられる法人が相当数ある様で何事もやり過ぎると目を付けられます。

この報告書によると平成16年度から平成21年度間で免税となっている消費税額は約17億5千万円と推計されており、消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等を踏まえ様々な視点から検討を行っていく必要があるとしています。

既に免税点制度については一部消費税法の改正が行われていますが、会計検査院の検査によって明らかになった状況が十分に解消されるまでには至っていないとしています。

以前、マンション建築時に自販機を利用した消費税の節税手法も、会計検査院の指摘から消費税法が改正された経緯もあり、今後免税点制度も改正論議が活発になるかもしれません。

 参考ホームページ
 http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/23/h231017_1.html