大阪市淀川区の税理士法人エム・アンド・アイの近藤です。

9月7日付の日経新聞に、『生産設備の寄付進まず』との記事が掲載されて
いました。

『東日本大震災の被災地で、生産再開に欠かせない機械設備が不足している。
被災企業を支援しようと多くの企業や団体が遊休設備を寄付しているが、
税負担やミスマッチから、あまり利用が進んでいない。
復興を見込んだ中古機械の高騰も起きており、事業再開の壁となっている。』
というものです。

被災企業の生産再開を支援するための寄付にもかかわらず、提供企業側に税負担が生じる可能性があるのです。

どういうことかと言うと、法人税法では、

内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額の合計額のうち、政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
と定めています。
つまり「寄附金」と認定されると「全額」を経費とすることが出来ない場合があります。

法人税法ではさらに、
寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
とされています。
つまり提供企業が無償で提供しても、「時価」で売却(提供)したとして計算し、簿価との差額を益金(収益)に計上しなければならないということです。

すなわち、無償で提供した側に、金銭の収受が無いにもかかわらず、これら法人税の規定によって税負担が発生する可能性がある、ということです。
提供したくても税金の負担をしてまでは、と躊躇する企業があっても不思議ではないと思います。

被災者に対する義援金等で、災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等や、自社製品等の被災者に対する提供などは、寄附金の額に該当しないという通達も
ありますが、是非この生産設備等の無償提供も課税対象から外して欲しいと思います。