税理士法人エム・アンド・アイの根木です。

今回は昨年に引き続き今年の税制改正の際にも廃止論が出ました配偶者控除のお話です。

配偶者控除とは所得控除の1つであり、所得税や住民税の課税計算の際に一定額を差し引いてもらえるものです。一般的には、ご主人の税金を計算する際に奥様が専業主婦かあるいはパート収入(パート収入以外の収入がある場合は収入から経費を差し引いた所得金額)はあるが一定金額以下の場合に38万円(住民税の場合は33万円であり、70歳以上の場合は金額が異なります。)を控除してもらえます。当然逆のケースもあります。奥様が仕事をされていて、ご主人が家事を担当している場合等です。

今まではこの配偶者控除が女性の社会進出をさまたげていたとも言われてきました。なぜなら配偶者控除を受けるためには、奥様が専業主婦であるかあるいはパートの場合はそのパートの収入を一定額に抑えないと受けられないからです。

このためパートで働く場合の収入金額の目安が100万円であったのを記憶している人も多いのではないでしょうか。以前は配偶者控除を受けることができる奥様のパート収入の上限が100万円であったからです。現在はその100万円が103万円になっています。但し、103万円を超えても105万円未満であれば配偶者特別控除(パート収入が103万円を超えても1,409,999円まで段階的に控除を受けることができます。)という所得控除があり、その控除額も配偶者控除と同額の38万円を受けることができるため105万円未満であれば結果的には同じになります。

パートにして働く場合には、時間的な制約もなく、働くことが苦にならないのであればあまり103万円にこだわらなくてもいいのではないかと思います。基準になるのはパートに出ることにより収入的にプラスになるかどうかではないでしょうか。具体的に下記の例で検討してみます。


〈前提例〉ご主人の所得税率 5%、住民税率 10%
  ケース1 奥様のパート収入 103万円(所得控除は基礎控除のみ)
  ケース2 奥様のパート収入 110万円(所得控除は基礎控除のみ)
 〈比較〉 住民税の金額には均等割りは含まれていません。  


  ケース1
@ 奥様の手取り収入 103万円―5,000円(住民税)=1,025,000円
A ご主人の方での配偶者控除による減税額
 38万円(所得税配偶者控除)×5%+33万円(住民税配偶者控除)×10%
=52,000円
B 合 計  @ + A =1,077,000円

  ケース2
@ 奥様の手取り収入 110万円−3,500円(所得税)−12,000円(住民税)
     =1,084,500円
A ご主人の配偶者特別控除による減税額
31万円(所得税配偶者特別控除)×5%+31万円(住民税配偶者特別控除)×10%=46,500円
B 合 計  @ + A =1,131,000円


ケース1とケース2を比較しますと、7万円を多く稼いだにもかかわらず手取りでは54,000円しか増加していません。この金額をどう考えるかではないでしょうか?54,000円も増えた!と考えるかあるいは54,000円しか増えなかった!と考えるか

手取りとしては増えているわけですから、やはりパートに出る場合はあまり金額にこだわらないほうがよいのでは?

但し、パート収入が130万円以上になりますと、サラリーマンの奥様である場合はご主人の健康保険の扶養家族から外れてしまい、ご自身で健康保険に加入しなくてはならなくなるため、負担がかなり増えることとなります。正社員として働くのではなく、パートとして働く場合は130万円が1つの目安となるのではないでしょうか?