税理士法人エム・アンド・アイの根木です。

今年も残すところあと1月余りとなりました。この時期になると来年度の税制改正のニュースが新聞紙上を賑わせます。来年度税制改正の所得税の改正案としてあがっているのは次の3つの項目です。
(1) 給与所得控除の見直し
(2) 成年扶養控除の見直し
(3) 配偶者控除の見直し

今回は給与所得控除について説明します。
給与所得控除の見直し案として次の2つがあります。
@  上限の設定
A  高額役員給与所得控除の制限

まず1つめの上限の設定は、従来の給与所得控除は金額に制限がありませんでしたが、今回その控除金額に上限を設ける案があがっています。政府税制調査会はその上限として、年収1,200万円、1,500万円、1,800万円の3つの案を提示しています。これらの金額のうちまず1,200万円は、給与所得者全体の平均給与である430万円の3倍程度であり、次の1,500万円は、中堅企業の平均給与である461万円〜605万円の3倍程度であり、最後の1,800万円は、資本金10億円以上の大企業の平均給与である605万円の3倍程度を目安としたものです。このように給与所得控除に1,200万円、1,500万円、1,800万円という上限が設けられるとそれぞれ120万人、50万人、30万人の給与所得者がその上限の影響を受けることとなり、すなわち増税となります。

次に2つめの高額役員給与所得控除の制限は高額な役員に対する給与に係る給与所得控除を一般のサラリーマンの半分程度に圧縮する案です。この場合の役員の範囲には公務員を含める案もあがっています。この場合の高額給与については、資本金10億円以上の大企業の平均役員報酬である1,655万円が基準となる案が示されています。

上記の給与所得控除の見直しは、平均的なサラリーマンにはあまり影響はないと思いますが、高額収入のサラリーマン及び会社役員には増税となります。
このような政府税制調査会が高所得者層への課税強化を強めるのは、税制再建のために、収入の多い人から多くの税金を集めようとする狙いがあります。

(注)給与所得控除
 給与所得者の所得税や住民税の計算の際に給与収入から引くことができる控除金額のことです。自営業者の場合は収入から経費を差し引き、税金を計算します。給与所得控除は給与所得者に認められている経費であり、給与収入金額に応じて一定の算式により計算されます。控除額は年収の増加に伴い増える仕組みになっています。現状では控除額の上限は設けられていません。