税理士法人エム・アンド・アイの近藤です。

新年度がスタートして早くも1ヶ月が経ちましたが、新入社員の方や異動で新しい部署に配属になった方は、やっと落ち着いて来た頃でしょうか。異動で単身赴任となった方は、連休を利用して、久しぶりにご家族と一緒に過ごされた方も多いかもしれません。

その旅費について、会社から支給があった場合、税務上は、様々な条件の下、所得税の課税・非課税の区分があります。

会社では、一般的に、役員や従業員が会社の業務を行うのにかかった電車代などの
運賃は、『旅費交通費』という勘定科目で経理処理されます。
これには、比較的近距離の移動から、遠隔地への移動(いわゆる出張等)まで含まれます。出張の場合、宿泊を伴う場合の宿泊費や、会社によっては日当も支給されますが、『旅費交通費』として経費になります。(認められない場合もあります。)
これらは、当然、会社の業務に必要であるものに限られます。

もし誤って、個人的な旅費交通費を会社が負担した場合は、『個人が自分で負担すべき支出を会社が負担した』ということで『経済的利益の供与』となり、その人に対する『給与』として取り扱われ、所得税が課税されます。会社としては源泉徴収の問題が発生します。また役員の場合は、定期同額給与に該当しなければ損金の額に算入されません。

さて、ここで、単身赴任の方の出張について、問題です。
東京に単身赴任中のAさんが、翌週の月曜日に大阪で商談があり出張の予定です。
家族の住む自宅が大阪にあるため、金曜日の夜から大阪へ移動し、金・土・日と自宅に帰りました。月曜日に大阪で仕事をして、火曜日に東京へ戻りました。このときの会社が負担した交通費は、旅費交通費でしょうか、給与でしょうか。

答えは、『旅費交通費』です。単身赴任者が、職務遂行上必要な旅行に付随して帰宅のための旅行を行った場合に支給される旅費については、これらの旅行の目的、行路等からみてこれらの旅行が主として職務遂行上必要な旅行と認められ、かつその旅費の額が所得税法基本通達9−3に定める非課税とされる旅費の範囲を著しく逸脱しない限り、所得税は課税されません。(国税庁HP所得税の質疑応答事例参照)

注意が必要なのは、出張先と帰宅先が離れた地域である場合です。その場合は個人的費用となり『給与』となります。もちろん、会社は、単身赴任者へ帰宅費用を支給してもかまいません。そのときは、旅費交通費ではなく、『給与』として経理処理をして、他の給与と合算して源泉徴収をすればよいのです。(役員の場合は定期同額給与に該当しなければ損金の額に算入されません。)

所得税の課税・非課税の区分で『給与』となるのか、またはその他の経費となるのか。その違いで、随分処理が変わってきます。旅費交通費以外にも、様々な勘定科目で同じような判断が必要になります。勘定科目とは案外奥が深いものなのです。